日本は国民健康保険制度が充実しているため、病気になっても安心感はあるかもしれないが、そうはいっても病気になった時、「一体総額でいくらかかるのか?」は心配の種だろう。
たとえば、突然、胸がグッと圧迫されるような痛みが走ったら、心筋梗塞の可能性がある。脳梗塞と同様、「突然死」に至る病だ。循環器専門医で、東京国際クリニック院長の高橋通医師が解説する。
「現在、主流となっているのが、血の塊(血栓)で塞がってしまった冠動脈を『カテーテル』を用いて再開通させ、専用の器具(ステント)で固定することで、心臓の血流を確保する治療法です。それが適さないと判断された場合には『冠動脈バイパス手術』を行ないます」
どちらの治療も「2~3週間の入院が必要」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)だが、患者の自己負担額に一定の上限を設ける高額療養費制度を使えば上限額約10万円の負担で済むため、治療費の差は生じにくい。
では、退院後のリハビリ代はどうか。
「心筋梗塞の発症後は、心肺機能が低下している状態のため、リハビリは短時間しか行なわず、3か月以上経過すると、通院などをせずに在宅で行なうケースも多い。
いずれも死亡率は高く危険な病ですが、リハビリ代に関しては、脳梗塞に比べて心筋梗塞のほうが経済面での負担は少ない傾向があります」(室井氏)
※週刊ポスト2019年2月15・22日号