国内

混迷のレオパレス修繕現場 「日給7500円」で職人は不足

レオパレス修繕現場の混迷(時事通信フォト)

レオパレス修繕現場の混迷(時事通信フォト)

 しばらく前から土木建築業界では人手不足だと言われているが、それは2020年東京五輪をにらんでの建設ラッシュや、耐震基準更新などが理由だと言われてきた。ところが、今年になって、賃貸アパートのブランド「レオパレス」で、少なくとも3千棟以上に建築基準法違が発覚し、全国で修繕工事が急増している。猫の手も借りたい修繕現場には、どのような人たちが働きに来ているのか。ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 早朝の東京都某市、住宅街の一角に、ジーパン姿の中年男性と作業着姿の若い少年が不安そうに佇んでいる。少し遅れてやってきたのは、同じく作業着姿のアジア系外国人と、ニッカズボン姿が板についた強面のブラジル人男性・Uさんだ。四人は、近くに止めたトラックから資材と大工道具をとあるアパートの前まで運ぶと、二階の一部屋に入っていく。

「レオパレスの修繕工事だよ。今みたいに問題になる前、去年の6月以降から実は修理やってたね。屋根裏に壁追加するとか、壁材の上に別の壁材貼るとかそんな感じ。作業は簡単だけど、給与が低いね。日雇いとか、安く使えるやつを拾ってこないと、こっちが損する」(Uさん)

 Uさんは屈託のない笑顔でこう笑う。物件の不良施工をレオパレスが発表した二月以前から、一部の物件について「建築基準を満たしていないのではないか?」と指摘があった。具体的には昨年の6月以降、こうした物件について順次「補修工事」の名目のもとに、作業が進められていたのだという。Uさんは、日系ブラジル人を祖先に持ち、10代の頃来日、本人は「便利屋」を自称しており、建築系や飲食店運営、ガードマンからこうした「人集め」までこなす。

「こんな現場、マジな職人は絶対こない。1日八千円切るし、職人にもプライドあっから。だから、レオパレスの一次請けや二次請けの業者なんて、自分たちじゃやらない。そんで俺らのところに話が回ってくる。日雇い系の事務所やってる友人とか、掲示板やツイッター経由でなんとか人集めてさ。実際作業は簡単だし楽だし、素人でもいいの。あらたな施工不良も出たし、これからもっと忙しくなりそうなのは嬉しい話だけど、アガリ(利益)は少ないね」(Uさん)

 防火壁が存在しない、壁が耐火基準を満たしていない、そんな不安だらけの施工不良物件の修復工事である。Uさんのいうように「簡単な作業」とはいえ、安価に集められた素人たちが施す工事で、本当に「安心して住める物件」に生まれ変わるのか? Uさんの言うことを信じネットで検索すると、確かにレオパレス物件の修繕工事に関わる作業員募集の求人がヒットした。

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン