レオパレスの謝罪会見(時事通信フォト)

「今話題のレオパレスのお仕事です」
「誰にでもできる簡単なお仕事です」

 これは、とあるネット上の地元密着型掲示板上に実際に、掲載されていたアルバイト募集の文言だ。レオパレスといえば、連日、その名前をニュースで連呼されているので確かに話題ではあるのが、一般的には「不祥事企業」として認知されているはず。一方で、求人告知は見た人が働きたくなるようなポジティブな文言を載せるものだ。だから、この募集をかけていた建設会社は「話題のレオパレス」と書いたのかもしれないが、冗談にしても悪趣味すぎる。

 別の求人では、やはり「女性でも大丈夫」という文言とともに、都道府県が定める最低時給で募集していた。やはりこれでは「安心安全」なレオパレス物件、と言う風にはどうしても思えない。

 修繕工事現場で実際に起きていることについて、東京都下に本店を置く、レオパレス社の二次請け工務店の代表の男性が次のように明かす。

「うちは二次請けですが、一次請けからの丸投げですので、レオパレス物件の建築に関しては基礎づくりから屋根を被せるところまで、それこそ水まわりや電機系以外の全ての工事をやっていました。去年の6月ごろから、一次請け会社から不備がある物件の修繕工事のオファーがあり今もその仕事ばかり。ニュースを見ていなかったので、レオパレスが大変なことになっていると知らなかったんです」(工務店代表)

 ご存知の通り、今年に入ってからはテレビ東京の報道が端緒となり、レオパレスは連日の炎上状態。報道も広がり新聞などもこの騒動を取り上げたことで、忙しすぎてニュースすら確認できなかった工務店代表も、やっと知ることとなったのである。

「修繕工事は件数が多すぎて人集めに相当苦労しており、レオパレスの施工実績のない会社にまで声がかかってるらしいんです。それこそ、二次請け三次請けが、四次請け五次請けに仕事を流したりして…。大丈夫かな? という思いは正直あります」(工務店代表)

 神奈川県内在住の吉岡努さん(仮名・40代)は、いわゆる「一人親方」の工務店を営んでいるが、最近は神奈川だけでなく、埼玉や千葉まで出向き、問題になっているレオパレス物件の修繕工事を請け負っているという。現場では、前出のUさんたちのような日雇い労働者や外国人作業員の姿まで目撃したと話す。人手不足が深刻な土木建築業界のため、経験が浅い、もしくは経験がない人がやってくることは珍しくないが、何もしたことがない人の数が多すぎると思った。

「レオパレスから依頼を受けた一次請け業者、そして二次請け業者があらゆる業者に仕事を振っているようですが、私なんかもその一人。実際に物件を施工するよりも簡単な作業ではありますが、工事の“こ”の字も知らないような日雇いの中年男性がやってきたり、日本語が喋れない東南アジア系外国人もいて、相当苦労しています」(吉岡さん)

 日雇いの中年男性に事情を聞くと、日給は7500円。仕事帰りに事務所に寄り、その場で現金を受け取るというが、普段は引越しなどの現場がメインで、建設作業の経験は皆無。外国人作業員たちも、普段は土木現場ばかりで、建設作業はレオパレスの修繕作業現場で初めてやると、まさに右も左もわからない状態で連れてこられていたという。

 筆者は、レオパレス本社にこうした実態について把握しているのかを問い合わせたが、広報担当者は「把握していない」と言うのみだった。そして、不思議そうに質問を返してきた。

「そうした募集にうちが関わっていると言うことなんですか?」(レオパレス担当者)

 これではまるで「原因は現場にあるのではないか」と、施工不良問題について無責任な回答をした、レオパレス社長の会見の二の舞ではないのか。そもそもレオパレスの問題はずさんな設計、丸投げの現場作業に原因があると見られているのに、ここにきてもまた「本社のあずかり知らぬ現場で起きたこと」で済ませるなら、修繕されたレオパレス物件が本当に安心なのかも疑いの目で見てしまう。居住者のためにも、そして物件オーナーのためにも、レオパレスにはさらに誠実な対応、現場管理が求められるのはいうまでもない。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン