そして発表前日(3月31日)には、ラジオ番組『政界キーパーソンに聞く』(ラジオ日本)に出演。菅氏は新元号について「いよいよその日が来た。緊張感でいっぱいです」と率直に語り、夏の参院選に合わせた衆参同日選の可能性を問われると、「それはない。解散権は安倍首相の専権事項なので、ないと100%は言えない。99%とは言えるかもしれない」と答えるなど、今後の政治の重要テーマについていつになく饒舌に語ったのである。
今も自民党内には衆参同日選論がくすぶっているが、菅氏は絶対反対の立場とされる。
「解散権は総理の専権事項」と言いながら、同日選を明快に否定したのは、“オレの目が黒いうちは解散させない”という自信の表われともいえる。
逆に安倍首相は元号会見を開いたことが裏目に出た。
安倍首相は「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味」と説明し、令を「清らかで美しい」と解釈しているが、「命令の令」と受け取る人が相次ぎ、“首相は上から目線で「和を命じる」つもりか”という意見も出た。
さらに安倍首相が新元号を「働き方改革」や「1億総活躍社会」と結びつけて自画自賛したことも、上から目線論に拍車をかけてしまった。元号発表で菅氏は脚光を浴び、安倍首相は新元号への批判を一身に浴びているのだから“なぜだ”と釈然としない思いだろう。
※週刊ポスト2019年4月19日号