はっきりわかっていることは、労働人口の減少でこれからの日本経済はますます低迷するということ。それによって、下層の者ほど生活が苦しくなり、現に貧困者はじわじわ確実に増えているということ。
〈北欧のような福祉国家とは天地ほどの差がある日本。主権在民を知らず、政府批判を許さず、お上(財閥・上級国民)に任せる生き方をしていたら、幸福度はどんどん下がってゆくのは当たり前〉
というツイートもあった。日本一国だけが世界から取り残されて、貧しく、ひもじくなっていくイメージ。国民のみながみなそう思っているとはいわないが、頑張れば頑張っただけ報われる時代はとうの昔に終わってしまったという認識は、大半の人々の間で共有されているだろう。これからの時代、経済的に恵まれるのは、もともと育ちの良かった人、たまたま優秀な遺伝子を受けついだ人ばかりである。
そんな身も蓋もない階級社会は冗談じゃない、ふざけるなとの怒りはどんどん溜まっている。が、一方で、どうせ変わらないよという諦めや絶望も広がっている。庶民の怒りを変革のエネルギーとして現状のけしからん政治に大ナタを振るってくれる人物が登場する気配というか、期待も感じられない。それよりも、多くの人々は、疲弊しながら日々の生活をどうにか成り立たせるのに精いっぱいといったところではないだろうか。
「上級国民」なる言葉の大拡散は、そのような状況にある一定層の日本人の心中や現状をあぶり出したように思える。ネット上で「上級国民」を腐して、少しばかりガス抜きをして、また「下流」の日常生活に戻っていく日本人の後姿が見えてくる気がする。