敗戦直後の上海では漢奸裁判で危うく命拾いをし、日本に戻ってはGHQ高官たちと交流し、訪米時にはチャイナドレスで「支那の夜」を歌う。歴史に翻弄された悲劇のヒロインは、史料の中では、虚実皮膜の間に生きる蠱惑的な妖女である。
「彼女」を作った一番の重要人物は父・山口文雄である。娘によって書かれた満鉄マンの父と、支那通の大物だった父との数々の落差は、日中近代史の縮図でもあろう。北京の父の家には、そのころ「軍用電話」が引かれていたという。
※週刊ポスト2019年5月31日号
敗戦直後の上海では漢奸裁判で危うく命拾いをし、日本に戻ってはGHQ高官たちと交流し、訪米時にはチャイナドレスで「支那の夜」を歌う。歴史に翻弄された悲劇のヒロインは、史料の中では、虚実皮膜の間に生きる蠱惑的な妖女である。
「彼女」を作った一番の重要人物は父・山口文雄である。娘によって書かれた満鉄マンの父と、支那通の大物だった父との数々の落差は、日中近代史の縮図でもあろう。北京の父の家には、そのころ「軍用電話」が引かれていたという。
※週刊ポスト2019年5月31日号