事故物件芸人・松原タニシが実際に内見した事故物件
◆霊が口からあふれ出る
タニシ氏に大量の霊が取り憑いているのかもしれないとの説は、ルポライターの村田らむ氏も語っていたという。
「らむさんがうちに泊まりにきたときの話なんですが、朝起きたら『夜中にオエエッってすごい声出してましたけど、大丈夫でした? なんかえずいてましたけど』って聞かれたんです。『まじすか? 何ともないですよ』と返したんですが、確かに僕の声でえずいていたと言うのです」(タニシ)
目を覚ましたタニシ氏は浴室へシャワーを浴びに行ったが、村田らむ氏は、そこでも「オエエ、オエエッ」という苦しそうな声を聞いたという。
「シャワーを浴びて部屋に戻ったら、『本当に大丈夫ですか? ずっとオエエって聞こえてましたよ!』と断言されました。寝ている間のことは分かりませんが、シャワーを浴びながらオエエなんて、絶対に言ってないのですが」(同)
この事件の直後、タニシのもとには前述の北野誠氏から電話があり、思いもよらない忠告を受けたという。
「誠さんが言うには、行きつけの神社の巫女から『タニシくんのなかに溜まっているものがあり、あふれかかっている』と言われたそうなんです」
悪霊のようなものがタニシの体内に大量に蓄積し、それが口からあふれ出て、嘔吐のような症状が出ていたというのだ。巫女の念力が通じたのか、しばらくすると周囲の人からの指摘は止んだ。
「あと、後輩の華井二等兵からは『タニシさんの引っ越しを手伝って部屋に泊まったら、その後1カ月ぐらい謎の頭痛が止まらなくなりました。ロキソニンを飲んで、ずっと耐えていたんです』と言われました」
タニシと関わった人々は、こうして次々と謎の”怪奇現象”に遭遇している。だが、怪奇現象について本人はこう言い切っていた。
「最初はしんどかったですが、事故物件をあえて受け入れるという意識を持って暮らしていると、少しずつ慣れてくる。これからも期限は決めずに住み続けますよ」
【PROFILE】松原タニシ(まつばら・たにし)/1982年4月28日、兵庫県生まれ。松竹芸能所属。”事故物件住みます芸人”を名乗り、さまざまな物件を渡り住んでいる。昨年、初の著書である『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)を発売。現在、『やわらかスピリッツ』にて『ゼロから始める事故物件生活』(作・奥香織、小学館)の原案を担当。今年3月には第1集が発売された。
■取材構成・西谷格