「最も多いのが『降圧剤を複数種類飲んでいる』というパターンです。降圧剤の主なタイプとして『カルシウム拮抗薬』『利尿剤』などが挙げられますが、ほとんどの場合、最初は1種類から治療を始めます。しかし、飲んでいくうちに効きが悪くなってくることが一定の割合で発生してしまう。
そうなると医師は、別のタイプの降圧剤を追加します。よくみられるのは、カルシウム拮抗薬を服用している患者に、『ARB』など、違う薬理作用(効くメカニズム)を持つ薬を追加する、というやり方です」(長澤氏)
放っておくと薬の種類はどんどん増えてしまう。そこで、2つの薬を1つにまとめた「配合剤」に切り替えるという選択肢が出てくる。いま飲んでいる薬のなかに、表にある組み合わせが含まれていれば、種類を減らせる可能性がある。
「降圧剤と同様に、脂質異常症(高脂血症)や糖尿病でも、治療期間が長くなるにつれて薬の種類が多くなる傾向があります。これらを治療する薬にも、配合剤は存在します」(同前)
1錠で2つの病気に対応するものもある。
「高血圧と高脂血症は併発しやすい病気です。そういった患者に対応するため、降圧剤と高脂血症治療薬を合わせた配合剤もあります」(同前)
薬が持つ副作用を抑えるために、別の薬が組み合わされて配合剤となっているパターンもある。
「血液をサラサラにする効果があり血栓予防に用いられる『バイアスピリン』には、胃を荒らしてしまう副作用がある。そのため胃腸薬とともに処方されることが多いのですが、2錠飲む手間を省くために2014年にそれらを組み合わせた『タケルダ』という配合剤が登場しました」(同前)