その先に続く道は緩やかにカーブを描いているが、これも遊郭の入り口から中が見えないようにという、遊びに来る男性への配慮からだという。
しばらく歩いて「吉原公園」を通り抜けると、いよいよ風俗店が立ち並ぶゾーン。派手な看板が立つ洋風の建物が多いなか、お屋敷のような格調高い和風の建物もある。吉原遊郭に祀られていた神様を明治になって合祀したという吉原神社、台東病院を抜け、吉原弁財天があるのが遊郭の反対側の出口だった。こうして歩くこと1時間。吉原案内ツアーは終了した。渡辺氏はこう語る。
「かつての趣を残す建物などはこの先長くは残らないかもしれない。残せないなら、ひとりでも多くの人に吉原を見てもらって記憶に残してほしい」
※週刊ポスト2019年7月12日号