子供たちを狙った事件が後を絶たない。子供たちが犯罪に巻き込まれないようにするのは、どういったことが重要なのだろうか。防犯アドバイザーの京師(きょうし)美佳さんはこう話す。
「小さいうちから、実際の事件について話したり、子供の防犯教室に参加したりして、危険な目に遭ったらすべきことを教えておくのが大切です。また、大人でさえ恐怖で大声が出ないことが多いので、大声を出す練習をしておきましょう。たまには河原で大声を出して遊ぶのも、いざという時に役立ちます。また、防犯ブザーの使い方にも慣れておきましょう」(京師さん・以下同)
子供は親に叱られたくない気持ちが強いもの。性犯罪に巻き込まれても、“門限を破ったせい”などと自分を責め、言い出せないケースもある。
「『怒らないから、困ったことがあったら言うのよ』などとふだんからよく会話をし、衣服の乱れや落ち着きのなさなど、小さな異変を見逃さないことも大切です」
では、具体的なケースを挙げて、どうすることが安全対策になるのか、いくつか検証する。
◆夜道を電話しながら帰宅は安全?
子供が夜道をひとりで帰宅する際、何かあったらすぐに異変を伝えることができるように、家族と電話しながら歩くといい…と言われることもある。果たして、本当なのだろうか?
その答えは「NO」。電話などの“ながら”歩きは、注意力が散漫になり、ひったくりや痴漢に狙われやすい。
また、通話相手に助けを求められる利点はあるものの、会話の内容が犯行につながる場合も。都内に住む女子中学生は、帰り道の通話で、母親がまだ職場にいると知られ、電話を切った後で乱暴された。
「『迎えに来て』など、電話しているふりをするのは犯人に警戒心を与え、自分も周囲を意識できるのでおすすめです」
◆不審な車に尾行されたらどうする?
もしも、道を歩いていて不審な車に尾行されていると感じた場合はどうすればいいのだろうか?
有効な手段は「車と逆方向へ走る」というものだ。
車はUターンするのに時間がかかるので、車の進行方向と逆に向かえば逃げ切る可能性が高くなるのだ。また、家に向かうと自宅を知られ、後日待ち伏せされる事件も増えている。
「まずは店などに逃げ込み、家族に迎えに来てもらう。ひとりで帰る場合は交番に立ち寄るか、尾行されていないことを確認して遠回りを」
有名な名古屋の“闇サイト殺人事件”では、帰宅中のOLが、停車中の車の横を通った際、急に男が出て来て連れ去られた。
「駐車中の車から物色している場合も。車からなるべく離れて速やかに通過しましょう」
◆道を聞かれたらどうする?
車中から地図を出して道を尋ね、地図をのぞき込んで説明した隙に、引き込まれそうになった事件が大阪府で発生。道は大人に尋ねるのが常識なので、子供に道を聞いてくること自体が怪しい。道を聞かれても対応しないのが正解だ。
「本当に困っている人を無視したとしても、このご時世なので常識ある人なら察してくれるはず。大人が両手を開いた範囲内には近づかないよう、日頃から教えておきましょう」
※女性セブン2019年8月15日号