「予選1問目は、自由の女神に関する問題というのが、毎年の恒例でした。球場の外で出題されるので、解答までに自由時間があります。スマホはありませんでしたが、誰に電話してもいいし、どう調べてもかまわない。本気で優勝を目指す挑戦者は、ほんのひと握りです。子育て中の主婦や大工さんなど、いろいろな方々が明るい笑顔で参加されていらっしゃいました」
印象的だったのが、「どろんこクイズ」。〇×クイズに答え、正解だと思うパネルに向かって飛び込み、間違うと泥まみれになるという演出は、白井氏が生み出したものだ。
「偶然、子供と雨上がりの公園に散歩に行って思いつきました。濡れた砂場を見て、『これだ!』と。泥加減は難しくて、水気の多い泥だと体につかないので、映像として面白くない。一番いいのは、作って3日くらい寝かした泥。土と水がいい具合になじんでいるんです(笑い)」
高校生には出場資格がなかったが、要望に応える形で1983年には『全国高等学校クイズ選手権』が誕生した。通称「高校生クイズ」として、今なお続いている。
●取材・文/戸田梨恵、小野雅彦
※週刊ポスト2019年8月16・23日号