この借地借家法は借り主保護のために作られた法律で、貸し主からの不当な賃貸借契約の解約を禁じているのだが、その中身がかなり貸し主に不利なものなのだ。たとえば、賃貸借契約は2年か3年で更新される場合が多いが、この更新は自動的に行われ、貸し主が更新を断ることは基本的にできない。また、借り主に問題行動などがあって、「出て行ってもらいたい」と思っても、退去してもらうにはそれに相当するかなり強い事由が必要で、プラス立ち退き料の支払いも求められるのが普通だ。
借地借家法の下での権利関係では、貸し主の立場は世間で思われている以上に弱いものなのである。そのため、貸し主は入居審査の段階で慎重になり、保守的な判断をする。なるべく無難なほうへ無難なほうへという目で入居希望者を見てしまい、結果的に非正規雇用者などを排除する思考になってしまう。
借り主の保護を目的としている借地借家法の意義を認めた上で、もう少し貸し主の権限も保証するような法改正ができないものか。トラブルメーカーの入居者が住みついて、追い出すことができず、苦労をしている大家は少なくない。その類の話を耳にするたび、そんなふうに思う。
れいわ新選組は、「住まいは権利!」とし、〈空き家、中古マンション、団地を活用し、すべての世代が初期費用なし、安い賃金で住める公的住宅を拡充します〉ということを政策として掲げている。その発想は完全に借り主保護のスタンスだが、山本代表の新居探しの苦労は、おそらく借り主保護の度が過ぎている借地借家法が原因の根っことしてある。自身の苦労体験からその問題性に着目して、借り主にも貸し主にも納得度の高い法改正に取り組んだとしたら、山本太郎氏は相当柔軟な政治家で、れいわ新選組はちょっと侮れない政党だといえるだろう。