「そもそも路線バスはそれほどスピードを出さないことが前提なので、多数の死傷者を出す事故は起こりにくい。ただし、着席しているのと立ったまま乗車している場合では、急ブレーキや衝突時に受ける衝撃が大きく変わってきます。『すぐ降りるから』と空席があるのに座らない方も見受けられますが、どの席であれ、バスでは着席を心がけることがリスク回避の有効手段です」
タクシーの場合はどうか。国沢氏が続ける。
「3人でタクシーに乗るとき、窮屈だからと1人が助手席に乗ることがありますが、できれば避けたほうがいい。一部の旧式セダン型タクシーは助手席エアバッグがない車種があり、目の前にはメーターなどの機器が設置されている。衝突時に顔面などに大けがを負う可能性があるからです。もちろん、後部座席ではシートベルトの着用を怠ってはいけません」
ただし、車種を選べば助手席でも安全性は高まるという。
「近年、都市部を中心に増えているトヨタの『JPN TAXI』は、助手席エアバッグを装備しているほか、衝突安全性も優れています。自動ブレーキも備えるなど、安全性が飛躍的に高まっている」(国沢氏)
事故を100%回避することはできないが、座席選びを意識すれば、リスクを抑えられる可能性はある。
※週刊ポスト2019年10月11日号