オールブラックスが目指す戦略を、すでに日本が備えているという指摘である。前出の村上氏が言う。
「これまでの日本は、ティア1の強豪国に対して“10回やれば1回は勝つだろう”という評価でした。しかしアイルランド戦では、ティア1と同等の実力を身につけていることを目の当たりにさせられた。
安易なキックプレーや奇襲ではなく、スクラムやモール、ラックなどを駆使して6割以上ボールをキープし、相手が疲れたところで後半20分で攻めて競り勝つという事前のゲームプランを見事に実行したわけです。奇跡でも幸運でもなく、狙って勝ち取った勝利です。残るプールAのスコットランド戦や、決勝トーナメントで当たる相手にも、きっと緻密な戦略を準備しているのではないか」
あのオールブラックスから金星をあげる日も遠くない──伝統国にもその力を認めさせた日本代表のさらなる進化に胸が高まる。
※週刊ポスト2019年10月18・25日号