パワハラかどうかは、当該行為の動機、目的、内容、態様、時期・時間、場所、周囲の状況、当事者の人間関係などをもとにし、総合的に判断すべきであると解されています。
暴力や暴言がなくても、飛び込み営業がOJTとして合理性がなく無意味な作業と誤解されると、その指示はパワハラといわれかねません。飛び込み営業の経験の大切さ等を説得する努力が必要です。
通常人なら理解するであろう説得をしても効果がない場合は、職場変更を考慮するか、営業職として採用されたのであれば、就業規則に従った業務命令違反として対処するしかありません。しかしながら、OJTの説得の前に、AIを駆使してビジネスに活かす時代に、飛び込み営業が本当に役立つことなのか、自省する姿勢も大切だと思います。
【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年11月1日号