教諭間のいじめ問題を受け、記者会見する神戸市立東須磨小学校の仁王美貴校長(時事通信フォト)

◆厳然たるヒエラルキー

 名古屋大学准教授で教育社会学者の内田良氏は、こうした事態が起きる理由のひとつに「学校という場の特殊性がある」と指摘する。

「日本は“教育の場である学校は介入されず自立しているべき”との信念が強く、トラブルが起きても法律に則って処罰するのではなく学校という閉ざされた空間の中で片付けようとします。暴力やいじめに走る教員が出てきても歯止めが効きにくい。一度いじめや嫌がらせの標的になると、そこから抜け出すのは困難です」

 一般の会社とは少し違ったかたちで、学校には、厳然たるヒエラルキーがある。

「学校における上司・部下の関係は、建前上は(校長や教頭ら)管理職と教諭のみですが、現実には生徒をまとめられる教諭が主事や主任として力を持ち、ヒエラルキーを形成します。

 その権力関係の中で教員間のいじめが発生しても、相談窓口や処分が整備されていないので解決できない。『先生がそんなことをするわけはない』との幻想を捨てることが、事件の再発を防ぐ第一歩でしょう」(内田氏)

 子供を預けるのに相応しい環境づくりのために、課題は多い。

※週刊ポスト2019年11月1日号

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