ラグビーW杯の開催で、母国の応援に訪れた外国人観光客を街で見る機会が増えたと感じる人も多いだろう。来年7月には、いよいよ東京五輪が開幕。英会話教室に通わなくても、今日から自宅でできる英会話とは?
現役の東京藝術大学学生で『海外ドラマで面白いほど英語が話せる超勉強法』(KADOKAWA)の著者でもある出口武頼さんは海外ドラマをすすめる。その勉強法は究極にシンプルだ。
「見るのは1回だけ、英語音声、日本語字幕にして、できるだけ停止ボタンも押さずに一通り見ます。1回しか見ないのは、ドラマの続きが気になってしまうから。それによって、好奇心を維持することが可能です。ドラマを見ながら、メモ用紙に“フレーズ”を書きとめて、ノートに清書して“フレーズブック”を作ります」(出口さん・以下同)
出口さんの言う“フレーズ”とは、せりふの中で、“使ってみたい”と思った部分のことだ。勉強を始めた当初は、「You’re beautiful.」のような簡単なフレーズからメモをし始めたという。
「ドラマを見終わったら、自分で和訳をつけます。ポイントは、フレーズを書きとめる時に、誰のせりふなのか、名前も一緒に書く。後から見返した時に、“このキャラクターだから、こんなフレーズを使うんだな”とわかると、理解がスムーズにできるんです」
例えば、イギリスの執事のフレーズだとわかれば、それは丁寧な言い回しだと想像がつく。 フレーズは、1話につき1つ収穫できれば充分だと出口さんは言う。
作品数を重ねるため、DVDより、NetflixやAmazonプライムなどの動画配信サービスの方が適している。
「中学1年生の時に始めた勉強法ですが、1日1~2時間ドラマを見て、中3の時には6~7割は聴き取れるようになっていました。それだけでなく、『フルハウス』のようなホームドラマを見れば、アメリカの家庭の雰囲気もわかって、現地の人たちと話しているような気分になる。実際に留学しなくても、自宅で“液晶留学”できるんです」
参考書を解くよりも海外ドラマを見た方が、“即戦力”の英会話を身につけられそうだ。
『海外ドラマ英和辞典』(KADOKAWA)など多数の著書がある南谷三世さんは、第1子出産後の32才の時、人気海外ドラマ『フレンズ』のDVDを用いた学習法で、生きた英語を学ぼうと思い立つ。
「試行錯誤して落ち着いたのが、同じシーンを3段階に分けて見る方法です。1回目は、英語音声のみで見る。日本語のヒントなしで自分の英語力を試します。2回目は、字幕も音声も両方日本語。これで、内容を確認します。3回目は、字幕も音声も英語にする。この英語の文章がなぜ、さっき見た日本語の内容になるのかを辞書などで調べながら、英語を理解していきます」(南谷さん・以下同)
『フレンズ』をDVDで見ると、1話は約20分。南谷さんは、通しで見るのではなく、シーンごとに区切って、その“3段階学習法”を行うことをすすめる。
「意味がわからない話を20分続けて見るのはきついですが、1シーンなら5分程度。最初に見たシーンで聴き取れなかった単語が次に見たシーンでは聴き取れたり、意味がわかると進歩を感じて、やる気につながります」