だが、小池都知事に過剰推測バイアスなんて関係ない。突然降って湧いた話に、「東京は最後に知らされたのでは。まさに青天の霹靂」と不快感を示し、「涼しいところでと言うのなら、北方領土でやったらどうか」とまで発言。さすがにこの発言はどうかと思うが、そこまで言いたくなるほど小池都知事はブチ切れた。
そこには、苛立ちや悔しさ、自身のプライドや都知事としての立場だけでなく「サンクコスト効果」が見えてくる。サンクコストは埋没費用ともいい、これまでに費やした資金、労力、時間のことであり、どのような決定をしようともはや回収できないコストのことだ。このサンクコストを惜しんで、事業や投資などをやめられなくなることをサンクスト効果という。
東京都が暑さ対策として、コースとなる道路の遮熱性塗装などにかけた金額はじつに300億円以上。1都民としては、「そんな所にそんなにお金をかけていたとは!!」と、まさに寝耳に水、驚きの金額だったが、東京都が準備にかけてきた労力や時間、その他諸々の費用を入れたら、暑さ対策だけで膨大な費用になる。かけてきたコストが無駄になるかもしれない事態に、都知事として「東京でやりたい気持ちに変わりはない」と反発したくなるのも当然のことだろう。だが、IOCにとってサンクコスト効果など関係なかった。
小池都知事は「ワンチームで」と発言し、他競技は移転せず2競技のみの開催地移転、都の追加負担なしなどで合意?した小池都知事だが、猛暑問題はあちらこちらで噴出している。まだまだ火種はくすぶっているようだ。