リモデル前のRVRも大型オフロード4×4のような乗り味だった
ちょうど2年ほど前の2017年晩秋、筆者はリデザイン前のRVRで北関東から福島一帯の山林を、オフロード含めて走ってみた。果たしてRVRは今日の基準に照らし合わせても色あせていない、独特の魅力を維持していた。
まずは走行フィール。昨今のクロスオーバーSUVは、腰高でありながら乗用車と同じような走行フィールを持たせることを念頭にチューニングされているのが通例だ。それに対してRVRは、ワインディングでの敏捷性など高重心のモデルにとって不利な要素はある程度のところで見切り、その代わりにサスペンションストローク(車輪の上下動の幅)の長さを生かし、柔軟性に富む乗り味を作り込むというチューニングを持っていた。
そのことによって、RVRはCセグメントコンパクトクラスのSUVでありながら、もっと大型の本格オフロード4×4のような走行フィールを手に入れていた。
FWD(前輪駆動)ベースのAWD(4輪駆動)という乗用車的な成り立ちだが、林業用のキャタピラー車が通行することでグサグサに荒れた未舗装林道でも車体が水平に保たれやすく、難所の突破力はかなり高かった。最低地上高は205mmと余裕があり、勾配にさしかかるときにバンパー下部をこすらない角度、すなわちアプローチアングルも20度を確保。かつて“オフロードの三菱”と呼ばれた面目躍如である。
「オフロードの三菱」は健在(リモデル前のRVR)
その特性は舗装された一般路でも発揮される。東京と青森を結ぶ国道4号線の栃木、茨城区間は大型トラックの通行で路盤の傷みが激しく、アンジュレーション(うねり)やワダチだらけなのだが、そういう不整をサスペンションでゆるゆると吸収し、ゆっくりとした縦揺れ、横揺れを伴いながらもステアリングの修正を必要とせずにばく進する感覚はどことなく大型SUV「パジェロ」に似たもの。同じプラットフォームを使う上位クラスの「アウトランダー」よりSUV的ですらあった。
使い勝手もSUVライク。キャビンは前後席とも必要十分な余裕があり、さらにその後方に約400リットルの荷室を備える。家族+荷物で旅行に出かけるというアクティブライフを楽しむという用途では、国産CセグメントSUV中屈指のバランスの良さであった。
新RVRも広い荷室を備え、アクティブライフが楽しめる