もちろんクルマは日進月歩であり、安全システムがステアリング介入型でなかったり、クルーズコントロールが前車追従型でなかったりといった機能面での古さは目立つ。が、ボディの強固さや乗り心地、静粛性など、クルマの基本性能については1世代前の時点ですでに十分に良いと思えるレベルを達成していたんだというのが正直な印象である。
古いモデルが思いのほか良いというケースはフィアット「500」、ルノー「カングー」など他にも結構ある。機能面の古さを大して気にしないというのであれば、基本性能で十分以上に勝負できるだけのものがあった。
こういうポテンシャルを持ちながら、不祥事の後遺症や地味な内外装がたたってか、さっぱり注目を浴びなかったRVRだが、オフロードイメージを前面に出したエクステリアを得たことで、いきなり甦った感があった。
前述のように、全長4.3m台のこのクラスには強豪がひしめいている。トヨタ「C-HR」はその筆頭であろうし、マツダも今年、新鋭の「CX-30」を出してきた。プラットフォーム的にはBセグメントだが、キャビンの広さと荷室のバランスの良さではピカイチのホンダ「ヴェゼル」も人気を博している。
RVRはそれらのモデルに比べるとデビュー時期は古いが、ちょっとしたオフロードならガンガンに走れてしまう走破性の高さとクロスカントリー4×4的な走り味、そしてリデザインによって元のボディが持つ水平基調のフォルムの良さが際立ったことなどにより、SUV好きなユーザーが今あえて選ぶ価値のある存在になったと思う。
と同時に、売れ行きが悪いからといって諦めて放置せず(欧州市場では人気だが)、コツコツと商品性を高める工夫をするという粘り強さは大したものだと感心した次第だった。