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2019.11.23 16:00  週刊ポスト

一人芝居の名手・イッセー尾形、二人以上だとどう感じるのか

一人芝居の名手が極意を語った

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、一人芝居がスタンダードである俳優・イッセー尾形が、ドラマや映画で二人以上になって芝居をすることについて語った言葉をお届けする。

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 イッセー尾形は一人芝居で活躍する一方、映像作品にも出演してきた。一九八一年の青島幸男主演『意地悪ばあさん』(フジテレビ)では警官役だった。

「これはリハーサルなしですぐに『自転車に乗って電信柱にぶつかってごらん』と言われてびっくりした覚えがあります。僕にとって道路というのは歩く場所で、芝居をする場所ではなかったので、違和感というか、くすぐったさがありました。

 僕にとっては一人芝居がスタンダードで、他の誰かが出てくるというのはアンチ・スタンダードなんです。なので、むしろ驚く。他の役者さんと逆だと思います。一人芝居を『少ない』と感じるのではなく、一人でない状況を『多い』と感じてしまう。たくさんのオブジェに囲まれている感覚といいますか」

 映画『男はつらいよ』シリーズには八六年の『幸福の青い鳥』から八九年の『ぼくの伯父さん』まで五作続けて出演、主演の渥美清とコミカルな芝居を見せた。

「紀伊國屋ホールでの僕の一人芝居を渥美清さんが観に来てくださったんですよね。やっていると、客席みんな笑っていてくれているのに、どうも一人だけ笑ってない人がいるんです。嫌だな、と思いながらふと見るとそれが渥美清さんで。『ああ、つまらなかったんだな』と思っていたら、しばらくしたら渥美さんが呼んでくださったんです。

 撮影現場では芝居論や演劇論は一切なくて、優しく見守っているという感じでしたね。『ここだけちょっとドタバタやろうか。その方が面白くなるよ』とかアドバイスをもらいました」

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