ミッドウェー海戦で戦死した山口多聞中将の三男・宗敏氏(筆者撮影)
退職後に日本軍の戦跡を追い戦争の理解を深めた宗敏さんが「ミッドウェー海戦の教訓とすべき」と語るのは、「大本営発表のデタラメさ」だ。
同海戦で日本海軍は空母4隻を失う壊滅的な打撃を受けたが、大本営は“戦果は過大に、損害は極度に小さく”との姿勢で発表した。おかげで1942年6月11日の朝日新聞には〈東太平洋の敵根據地を強襲〉〈米空母二隻撃沈 わが二空母、一巡艦に損害〉などと、あたかも日本軍が勝利したかのような見出しが並んだ。
「海軍省はミッドウェーの敗戦が知られたらまずいからと、子供の私にさえ親父の戦死をひた隠しにしました。それまで曲がりなりにも真実を伝えていた大本営はミッドウェーでウソをついてからデタラメばかりの発表になった。そんな大本営発表を新聞各紙は疑うことなく報じ続けました」(宗敏さん)
森友学園問題での公文書改ざん、日本を代表する有名企業での粉飾決算やデータ書き換え、日本郵政の不正勧誘など、現代日本は様々な「フェイク」に悩まされる。様々なかたちで「ミッドウェー」が思い起こされる今だからこそ、77年前の海戦から学ぶことは多い。
●取材・文/池田道大(フリーライター)