憲政史上最長の在任期間となった安倍首相。褒められると喜ぶが、厳しい批判には「オレは何も悪くない」と耳を塞ぐ。
ならば、褒めて褒めて褒めちぎろうではないか。もしかして、褒められることが大好きな安倍首相にも、国民の本当の声、怒りや不満が届きくかもしれない。そこで、政治評論家で元民主党代議士の木下厚氏に安倍首相を褒めてもらった。
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安倍首相は間違いなく「最強の政治家」でしょう。
権力欲が強く、総理の座を維持するためには手段を選ばない。野党の準備不足で「勝てる」と思えば理由がなくても解散・総選挙を打つ。
その背後にあるのは、2つのトラウマだと私は分析しています。
一つは学歴コンプレックス。成蹊学園では大学までエスカレーターで受験勉強をしたことがない。だから受験エリートである東大卒の政治家や官僚の上に立つことで見返したい。もう一つは、第1次安倍内閣の失敗。党内からも「政権を投げ出した」と笑われた。その屈辱を晴らすために、今回はできるだけ長く権力の座にあってこちらも見返したい。
政策はそのためのお飾りにすぎないのです。だから「アベノミクス」「1億総活躍」「女性が輝く社会」「働き方改革」など国民に見透かされる前に看板をコロコロ変える。国民のための政治よりも、権力維持が最優先なんです。
だが、リアルの政治というのは理想論ではできないのも事実。安倍首相に翻弄されてきた今の野党が本当に政権を取ろうと考えるのであれば、なりふり構わぬ権力への執着を少しは見習ったほうがいいのではないでしょうか
※週刊ポスト2019年12月20・27日号