なぜ、スノーデンは「アメリカ政府の隠密活動」を暴露したのか。彼が綴る心の軌跡からは、メインストリームから外れていた者にだけ見える現実があった。大義を振りかざすだけで、良心がマヒした組織エリートたちの自己欺瞞である。告発の原動力となったのは、「時の権力を否定して、自分の良心の命ずるままに原理に基づいて反逆する権利」をうたった母国アメリカの「独立宣言」だった。
真実を語った代償は高くついた。だがその選択のおかげで、大量監視システムのもとに縛られるグローバル社会のあるべき姿について、議論の材料を得ることができた。
※週刊ポスト2020年2月7日号