次の弱点は、多すぎるフランチャイズ店(FC)です。ワークマンはプラス業態も含めて現在、ユニクロの国内店舗数より多い873店舗ありますが、そのうち実に810店舗がFCで、その比率は90%以上です。
直営店だとさまざまなコストはブランド側がかけますが、FC形式だと、ブランド側の負担は減ります。例えば店舗従業員や店長(オーナー)の給料もFC側の経費になるため、コストの軽量化が図れるメリットがあります。コンビニエンスストアや携帯電話ショップなどもこのフランチャイズ形式を大々的に取り入れて、販路を拡大してきました。
しかし、FC形式には弱点もあります。給料や歩合、商品供給などの面でFC側に不満が溜まりやすいのです。現在、大揉めとなっているコンビニエンスストアの問題も、FC側に分配される収入の少なさから人手不足に陥るなど、本部に対する不満が蓄積していました。
ワークマンに関しても同様のことが起こり得る可能性はあります。同社が公表しているFC契約の月間収入例を見てみると、FC側の取り分が抑えられた設定となっています。
モデルケースは100坪で月額1000万円を売り上げる店舗となっていますが、100坪ショップを運営するだけでも、それなりの従業員数が必要となりますし、月額1000万円を売るためには、相当ハードな店舗オペレーションが欠かせません。
にもかかわらず、店に入る収入例として記載されている額は、111万円+報賞金(年平均80万円)。この中から人件費も支給しなければならないので、これでは、いくらブランドに熱意があっても、FC店側との足並みが揃わなくなることも出てくるでしょう。
実際、ワークマンは通常店舗にも一般消費者が多く訪れているため、これまでFC店長が行っていたプロ向けの営業活動が満足にできなくなっているという話も聞こえてきますし、新しい店舗では、少ない従業員のために商品陳列や補充が間に合わず、棚が乱れている光景も見受けられます。
ここまでワークマンの躍進を支えた「長期間の商品販売サイクル」「9割以上を占めるフランチャイズ店」という2つの要素ですが、今後、規模を拡大し続けていくと、かえってマイナスの要素に転換してしまう危険性を多分にはらんでいます。今後、ワークマンはこうした仕組みをいかに改善・調整しながら業績好調を維持させていくのか。注視してみたいと思います。