「幸福な家庭はみな一様に似通っているが不幸な家庭はいずれもとりどりに不幸である」というのはトルストイの名言だが、その原則は企業にも成り立つのだろう。だからこそ、企業の成功物語よりも、失敗の物語を読むほうが、得られるものは多いと思う。
企業経営には、様々な落とし穴が待ち受けているから、それを避けるための備えが必要になるからだ。ただ、本書が示す究極の教訓は、企業は時代の変化に柔軟に対応し、誠実なビジネスを積み重ねるべきだという当たり前のことなのだと思う。
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号