一方、休みとなれば地方の産地へも積極的に出て行く。
「いい蕎麦があると聞けば、農家を訪ねて直接買ってくる。国産の蕎麦の中でも、上位10%から20%の原料を探すという気持ちで30余年歩き回っているんです。いまも仕入れている徳島県祖谷(いや)の蕎麦農家には、最初、5年通いましたからね。野菜にしてもそうです。食材探しと外食は、刺激的だし、自分をやる気にさせますよね」
細川さんの蕎麦への情熱は、70歳を超えたいまもまったく衰えていない。
もっとも、悩みもある。
「昔やっていたごぼうのかき揚げ蕎麦や太打ちの田舎蕎麦、デザートなんかを復活させたいんです。でも、いまは、弟子が一人なので、とても手がまわらない。まだまだやり尽くしてないし、やりたいことはたくさんあるんです」
●江戸蕎麦 ほそ川 【東京・両国】
東京都墨田区亀沢1-6-5
営業時間:11時45分~14時(L.O.)、17時半~19時半(L.O.)
定休日:月、第1・3火曜
■撮影/太田真三、取材・文/一志治夫
※週刊ポスト2020年3月13日号