芸能

桂米團治 人情話から漫才風の会話まで「上方の演目」を堪能

桂米團治の魅力は?

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、上方落語の演目を東京・銀座で堪能した桂米團治の独演会についてお届けする。

 * * *
 1月12日、銀座ブロッサム中央会館の「桂米團治独演会」に出掛けた。正月と夏の年2回開かれる恒例の独演会で、今回は『軽業』『一文笛』『池田の猪買い』の3席がネタ出しされていた。

 1席目、米團治は「我々が見台を張り扇と小拍子で叩くのは上方落語の発祥が大道芸だから」と説明してから「そんな世界に皆さんを誘います」と『軽業』へ。喜六と清八の伊勢参りの道中で起こる出来事を描いた長編連作『伊勢参宮神乃賑』(通称「東の旅」)の一部で、張り扇と小拍子でリズムを刻む軽やかな道中付けから「その道中の陽気なこと」と鳴り物が入った後、この二人連れが氏神の正遷宮の祭礼で賑わう村に入っていく。

 インチキな見世物小屋で騙され続ける二人の能天気なやり取りから一転して、軽業小屋の場面では鳴り物が入り、口上をたっぷりと聴かせる。軽業師の綱渡りの様子を二本の指と扇子で表現する楽しさも含め、上方落語ならではの浮かれ気分に満ちた賑やかな高座だ。

 2席目は桂米朝作『一文笛』。駄菓子屋で一文笛を買えず「銭のない子はあっちへ行け」と言われている子を見たスリ名人の秀が、自らの貧しかった幼少期と重ね合わせて不憫に思い、笛を盗んでその子の懐に入れたことがとんでもない事態を招く。上方だけでなく東京でも演り手が多く、今や「昭和の古典」と言っていいだろう。人情噺の名作だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
テレビの“朝の顔”だった(左から小倉智昭さん、みのもんた)
みのもんた「朝のライバル」小倉智昭さんへの思いを語る 「共演NGなんて思ったことない」「一度でいいから一緒に飲みたかった」
週刊ポスト
陛下と共に、三笠宮さまと百合子さまの俳句集を読まれた雅子さま。「お孫さんのことをお詠みになったのかしら、かわいらしい句ですね」と話された(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
【61才の誕生日の決意】皇后雅子さま、また1つ歳を重ねられて「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら…」 陛下と微笑む姿
女性セブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン