多数の新型コロナウイルス感染者を出したクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』。下船者はいま、いわれなき差別に苦しんでいるという。
「近所に住む親族の家に行こうとしただけで、近隣住民に“家から出ないでほしい。出るなら市役所に通報する”と言われた」「周囲の目が厳しく、いまだ自宅に帰れていない」と悲痛な叫びが相次いで報じられている。
これはもはや、下船者だけの話ではない。冷静さを欠いた「感染差別」は、身の回りのあらゆるところに潜んでいる。
新型コロナウイルスの感染拡大による社会不安が各所で顕在化している。“トイレットペーパーが品切れになる前に、とにかく自分の分を確保しなければ”という危機感から、薬局やスーパーに長蛇の列を作る人々は顕著な例だろう。
そうした不安感は、人間関係においても間違った形で表れているという。
「感染者が出た地域の小学校に通う子供が“コロナーマン”と呼ばれ、“あの地域に住んでいる人とは話したらダメ”と教える親までいるそうです」
と悲しそうに話すのは40代の主婦。そうした「感染差別」は子供に限ったことではない。
「北海道出張から帰って以来、職場の先輩や同僚たちに感染者扱いされています。冗談めかして言うならまだしも、なかには“2週間はおれに近づくな”と真顔で言ったり、すれ違うときに息を止め、露骨に嫌そうな顔をする人もいる」(30代会社員)
「同じ小学校に通う生徒の保護者が、『6年生を送る会』の出席を断られたと聞きました。母親が中国出身という理由だけで、学校はその子の両親の参加を拒否。確かに、1月に里帰りしていましたが、実家は北京で、しかも1か月以上前のことです。ほかの生徒はご家族が見守るなか、そのお子さんはひとりぼっちでとても寂しそうでした」(40代派遣社員)