横浜・山手地区の街並み(時事通信フォト)
神奈川女子御三家の学校は、いずれも外国人宣教師が設立したキリスト教の学校(フェリス女学院と横浜共立学園はプロテスタント、横浜雙葉はカトリック)である。
ご承知のようにフェリス女学院は日本で最も古い女子校で、社会で活躍する女性も数多く輩出してきている。横浜共立学園も創立はフェリス女学院の翌年と、これまた押しも押されもせぬ伝統校だ。横浜雙葉はこの3校の中で唯一小学校からある学校で、横浜の名家の子女が通う学校として知られてきた。
受験の世界では「ブランド校」といういい方があるが、文字通りこの3校は神奈川きってのブランド校である。もちろんこうした「伝統」やキリスト教の「人間教育」に価値を置いて学校を選択するご家庭は一定数いる。だが、そうした傾向も少しずつ弱まってきているというのが最近の入試事情と言っていいだろう。
一方の洗足学園だが、じつはこちらも創立者はクリスチャンで、校名は新約聖書「ヨハネによる福音書」に由来する。が、キリスト教教育は前面に出さず、早くから社会で活躍する女性の育成を謳ってきた。
「備えある者には活躍の機会が待っている」というスローガンの下、近年各学校が力を入れている帰国生入試、英語教育、海外大学進学にどこよりも早くから取り組んできた。また「他流試合」と称する300を超える学外チャレンジプログラムが生徒を大きく成長させていることは広く知られるようになっている。
国立大学の推薦・AO入試は、学外での活動や体験が評価、重視されるため、試しに今年の難関国立大学(東京・京都・東北・九州・北海道・大阪・名古屋の旧帝大7校と東工大、一橋大の計9大学)の推薦・AO入試での合格者を調べてみた。
すると、女子校では洗足学園が5名で最多。その他では豊島岡女子学園が3名、吉祥女子と女子学院が2名。他はいずれも1名。東京を含め、お嬢様学校と言われている女子校はこうした国立大学の推薦・AO入試では不振だった。
保護者はここまでの数字は把握していないと思うが、常に時代の先を睨んで手を打っている姿勢や情報公開の度合い、生徒の活発さなどから洗足学園の受験者数が伸びていると考えていいのではないだろうか。