本書では東京藝大、国立音大、洗足学園など東京近郊の音大を主に取り上げる。音大出身の担当編集者ともども学園祭を見て回った「魅惑の音大イベント体験」や、謎に包まれた音大ライフを現役生が座談会形式で語る「音大生の不思議な日常」、不名誉なゴーストライター騒動でその名を知られることとなった桐朋学園出身の作曲家・新垣隆氏との対談など、全5章で構成される。
また各章にイラスト付きで挿入される〈音大生ファッションチェック〉も必見だ。〈こなれ感が漂いながらキレイめな〉服装やピアノ科女子の美しい二の腕など、その華やかさ、爽やかさを元美大生は眩しく見つめる。
「代官山にある東京音大内のカフェに行くと、皆さん本当にオシャレで小綺麗で、女子としてのレベルの高さを感じさせます。美大の場合は小中高と“お嬢様学校”で育った子が、大学でいきなり“全身古着女子”に変身するなど、音大とは逆方面に同調圧力がありました(笑い)」
取材時には東京藝大の学園祭に2年連続で通い、〈藝大に入るより難しい〉各種学内コンサートの抽選に応募。2年越しで観覧にこぎつけた。
「あんなに素晴らしい演奏が、しかも無料なんです! 医大の次に学費が高いこともあり、音大生に必要なのは〈実力より親の財力?〉など、お金の話には俄然興味があります。
また、彼らの才能に目を付けに来る〈藝大おじさん〉の存在も面白かったです。演奏会に行くと、確かに常連のおじさま方がいるんです。自らの“青田買い力”を自慢したい人やストーカーのようになってしまう人もいる一方、彼らの活動を人的、経済的にサポートするプロデューサー体質な人も時々いて、学生側も〈共存、あわよくば利用〉が本音のようです。
いずれにせよ音大生の演奏には夢や希望が宿り、ポジティブな気分になれるので、心のアンチエイジングに学園祭はおススメです」