芸能

高田文夫氏 楽しませ、悲しませてくれた喜劇人たちを想う

早逝の喜劇人たち

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、高田氏の本棚から、喜劇人たちへの想いをお送りする。

 * * *
 無駄に明るい団塊世代の東京っ子。こんな私でもこの世の中にはちと虚無的にもなる。本棚ひっくり返していたら、山頭火と共に自由律俳句で今も暗い人気の尾崎放哉の句が出てきた。まさに今の時代だ。

“咳をしても一人”。ゴホンと言えば龍角散。ご本といえば小学館、とも言える。放浪の俳人である。

“こんなよい月を一人で見て寝る”。離れて一人で見るのをテレムーンとでも呼ぶのか。それもこれもコメディアン志村けん、ある意味コメディエンヌでもあった岡江久美子を早くして失なった日本人の心が皆な切ないのだ。

 私はよくラジオでも言うのだが、「人の死は、楽しませてくれた分だけ悲しい」。100笑わせてくれた人は100だけ悲しい。大して笑わせてくれなかった芸人や作家は死んでも大して悲しくない。私にとって喜劇人の死というのはとてつもなく辛い。沢山笑ってきたからだ。

 本棚の喜劇人コーナーをあれこれ見ていたら「志村けん享年70」は若くはないのだ。志村がお茶の間の喜劇王なら、“日本の喜劇王”と呼ばれたエノケンこと榎本健一は65。晩年は足を切ったりして、子供ごころに可哀そうなお爺ちゃんだと思っていた。エノケン・ロッパと称された古川ロッパ(インテリ)は57。あの貫録たるや70代のものだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン