国際情報

『風と共に去りぬ』配信停止 BLM運動でハリウッドが敏感に

差別は根強く残っている(時事通信フォト)

 米ミネソタ州で起こった白人警官による黒人男性暴行死事件に端を発する「Black Lives Matter」運動(以下、BLM運動)は、全米のみならず全世界に拡大している。

 この動きはエンターテインメント業界にも波及した。米大手動画配信サービスの「HBO Max」が映画『風と共に去りぬ』の配信を一時停止したのだ。

 同作はマーガレット・ミッチェルの小説が原作で、南部の裕福な農園の娘であるスカーレット・オハラがヒロイン。アカデミー賞で作品賞、監督賞(ヴィクター・フレミング)、主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)など多くの部門を受賞した名作として知られるだけに、世界から驚きをもって迎えられた。在米ジャーナリストの高濱賛氏がいう。

「この映画は1939年の上映当時も黒人層から激しい批判を浴びました。ストーリーそのものではなく、作品に出てくる黒人が差別や奴隷並みの扱いを受け入れ、あたかも『ハッピーな存在』であるかのように描かれていることが史実に反するとの批判でした。今回、配信停止となった理由も同様のものです。

 当時のハリウッドは白人の力が強く、黒人の抗議は退けられてしまったが、今回のBLM運動でそれが再燃したかたちです」

 この作品では、オハラ家に使える乳母を演じたハティ・マクダニエルがアフリカ系アメリカ人女優として初めて助演女優賞を受賞した。しかし、授賞式の会場ホテルが「黒人お断わり」だったために、共演者たちと同じテーブルに座ることを許されなかった。そのような時代の作品だけに、現在との乖離は大きい。

 ハリウッドでは近年になっても「差別」の問題が大きく取り上げられてきた。

関連記事

トピックス

地面師グループに約55億円を騙し取られる詐欺事件がモデルだ(Netflix公式より)
Netflixドラマ『地面師たち』を観た元地面師が語った、実際の詐欺の現場とドラマでは何が違うのか
NEWSポストセブン
羽生結弦(時事通信フォト)の元妻・末延麻裕子さん(Facebookより)
【“なかった”ことに】羽生結弦の元妻「消された出会いのきっかけ」に込めた覚悟
NEWSポストセブン
シャトレーゼのケーキを提供している疑惑のカフェ(シャトレーゼHPより)
【無許可でケーキを提供か】疑惑の京都人気観光地のカフェ、中国人系オーナーが運営か シャトレーゼ側は「弊社のブランドを著しく傷つける」とコメント 内偵調査経て「弊社の製品で間違いない」
NEWSポストセブン
“女性初の総理”は生まれるか(左・時事通信フォト、右・共同通信社)
【女性初の総理は生まれるか】長野智子氏、辻元清美議員、伊藤孝恵議員らが語る「今こそ女性リーダーが必要な理由」
女性セブン
「東大生が選んだアイドル」として話題になった武田久美子(1982年撮影)
東大在学時にアイドルイベントを主催した和田秀樹氏 当時中学生だった武田久美子を発掘「東大生の情熱が学園祭隆盛の先鞭をつけました」
週刊ポスト
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝『旅サラダ』残り2週間》謹慎中のKAT-TUN中丸雄一、番組復帰の予定なしで「卒業回出演ピンチ」レギュラー降板の危機も
NEWSポストセブン
8月30日、パワハラ疑惑などの事実関係の調査を進める百条委員会による初の証人尋問に出席した斎藤元彦兵庫県知事(46)。疑惑については認めない姿勢を固めている(時事通信フォト)
驚愕の粘り腰を発揮する斎藤知事を見ていて得られた4つの気づき
NEWSポストセブン
小泉進次郎元環境相と妻の滝川クリステルさん(時事通信フォト)
滝川クリステルの旧習にとらわれない姿勢 選挙区の横須賀では「一度も顔を見せないのはどうか」の声、小泉進次郎氏は「それぞれの人間性を大事にしていきたい」
女性セブン
稽古は2部制。午前中は器具を使って敏捷性などを鍛える瞬発系トレーニングを行なう。将来的には専任コーチをつけたいという
元関脇・嘉風の中村親方、角界の慣習にとらわれない部屋運営と指導法 笑い声が飛び交う稽古は週休2日制「親方の威厳で縛らず、信頼で縛りたい」
週刊ポスト
小泉進次郎氏・滝川クリステル夫妻の出産祝いが永田町で話題
小泉進次郎夫妻のベテラン議員への“出産祝い”が永田町で話題 中身は「長男が着ていたとみられるベビー服や使用感のあるよだれかけ」、フランス流のエコな発想か
女性セブン
柏木由紀と交際中のすがちゃん最高No. 1
《柏木由紀の熱愛相手》「小学生から父親のナンパアシスト」すがちゃん最高No.1“チャラ男の壮絶すぎる半生”
NEWSポストセブン
今年8月で分裂抗争10年目を迎える。写真は六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「宅配業者を装って射殺」六代目山口組弘道会が池田組に銃口を向けた背景 「ラーメン組長」射殺事件の復讐か
NEWSポストセブン