WHOは「手動吸引法」を推奨
妊娠何週くらいでどんな対処ができるか
さて、中絶すると決めたら、次に手術をしてもらう病院探しだ。どうやっていい病院を見つければいいのだろうか。
「最初に受診したとき、“10代でセックスなんてしたらダメだ”などと、妊娠した子に説教をする医師はやめた方がいい。いまだにこういう医師は、意外とたくさんいます。そんなことを言う医師なら病院を変えた方がいい」
初診のときに、今後の避妊について丁寧に説明してくれたり、ピルを処方してくれるなど、今後、思いがけない妊娠をしないような対策を教えてくれる医師は信頼できる。
また、その病院がどんな手術方法を採用しているか、確認をする必要もある。初期中絶手術には「搔爬法」と「吸引法」があり、古くから一般的なのが、前者だ。ただしこの方法は、子宮内膜を傷つけたり、子宮の壁に穴があく「子宮せん孔」などのリスクがあり、世界保健機関(WHO)では推奨していない。
掻爬法は、はさみ型の鉗子や小さなスプーンのような金属製の器具を腟から子宮内部に入れ、組織を剝がして搔き出す、昔から続けられている方法。子宮内膜に傷がついたり、膜が薄くなって受精卵が着床しにくくなるなど、将来的な懸念もある。
吸引法は、チューブを腟から子宮内部に入れて組織を吸い出す方法だ。2016年にプラスチック製のチューブとつなぐ手動式の吸引器とセットで使い捨てにできる器具が登場し、利用が広まった。
それまでも電動の金属製ポンプを使う吸引法があったが、使用のたびに消毒が必要など、使い勝手が悪かった。WHOは安全性が高いこの「手動式吸引法」を推奨している。
「日本の病院ではまだ、搔爬法しかやっていないところも多いのですが、どちらか選べるならば、吸引法がいいと思います。ただ、搔爬法が必ずしも悪いわけじゃありません。昔は搔き出す器具が大きかったため、子宮に傷がつき、その後、妊娠しづらくなったりしましたが、いまは器具が改良され、そんなことは滅多にありません。
ただ、搔爬法は医師の経験やテクニックによるところが大きい。吸引法なら、最新の器具で吸い込むので、経験やテクニックが必要ない利点はあります」
つまり、病院探しでは、吸引法を採用しているかも選ぶポイントとなる。