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2020.07.15 07:00  週刊ポスト

鰻料理を扱う店が約60軒ひしめく成田山新勝寺参道の名店

遠来の参拝客をもてなす成田山名物

 JR成田駅、京成成田駅と成田山新勝寺を徒歩約10分で結ぶ約800メートルの参道。そぞろ歩けば、香ばしく焼かれた鰻の香りが漂い、食欲を誘う。

 店先で職人たちが真剣な眼差しで何度も手返しをしながら、次々と艶やかな狐色に焼き上げていく。鰻から落ちる脂がジュッと音を立て、蒲焼のいい匂いが煙にのって参拝客たちを包む。こんな光景と香りに出迎えられたら、誰しも誘惑には勝てないだろう。

表参道には鰻屋のほか、色々な店が立ち並ぶ

 江戸時代もきっとそうだったに違いない。古くから「成田のお不動さま」として庶民の信仰を集めてきた成田山新勝寺の門前町は、元禄時代に入ってから成田詣がブームになったことをきっかけに、江戸から物見遊山も兼ねて行ける行楽地として賑わいをみせてきた。

大本山成田山新勝寺

境内にある「額堂」は国の重要文化財

成田山新勝寺境内の出世稲荷。名刺を貼って出世を願う

 印旛沼と利根川に近い土地柄、川魚が豊富に獲れ、昔から鰻料理が盛んに食べられていた地域でもあり、江戸から数日間歩いて成田山を訪れる参拝客を旅館などが栄養価の高い鰻料理でもてなしてきた歴史を持つ。その名残もあり、現在も鰻料理を扱う店や旅館が参道に約60軒ひしめく。

 とりわけ人だかりができているのが、明治43(1910)年創業の鰻専門店「川豊本店」。かつて旅籠として使われていた建物は、国の登録有形文化財に指定されている。「割きたて、蒸したて、焼きたて」にこだわり、店頭の土間では鰻一筋50年を超える板長が熟練の技で生きた鰻をさばいていく。

 関東の鰻の調理法は関西と異なり、背開きにし、白焼きの後に蒸す工程が入る。国内各地から厳選した鰻1.5尾を使う「特上うな重」は、味もボリュームも満点。30分以上蒸した後、創業時から守る一子相伝の薄甘口のタレで焼き上げた身は、ふわふわで口の中でとろけていく。並んでも味わいたい逸品だ。

参道に面する老舗・後藤だんご屋の「やきだんご」「かき氷」は大人気

●川豊本店 千葉県成田市仲町386

川豊本店

【営業時間】10時~17時(L.O.)【定休日】無
特上うな重(おしんこ付き)5100円 きも吸150円

◆撮影/中庭愉生、取材・文/上田千春

※週刊ポスト2020年7月24日号

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