実力以上にバブル化した「武蔵小杉」
マンションを評価するもう一つの基準は賃料。その物件を買うのではなく借りた場合に、物件価格は賃料の何年分に相当するかという基準だ。例えば、賃料の10年分程度の価格だったら購入のほうが明らかに有利。しかし、賃料の30年分だったら、購入のリスクのほうが高くなる。
こうした基準に照らして、この局地バブルで明確に割高な水準までマンション価格が上昇した地域がある。実力不相応に価格がバブル化したエリアほど、今回のコロナ不況で価格が大幅に下落しやすいと考えられる。
首都圏でそういったエリアを探すと、すぐに浮かび上がってくるところが何か所かある。
まず、川崎市(神奈川県)の武蔵小杉エリアである。
タワマンが林立する武蔵小杉(時事通信フォト)
今や“タワーマンション銀座”と呼べるほど、タワマンが林立している。人口が急増したことで最寄り駅のキャパシティが追い付いていないことが、2018年頃の報道で話題になった。さらに2019年の10月には台風19号による水害にも見舞われた。
このエリアのタワマンは、今や新築タワマンの坪単価が400万円に迫っている。それは文京区山手線内の普通の新築物件と変わらない水準だ。明らかに実力以上の高値まで上がってしまったため、コロナ不況による急速な調整の可能性が高い。