マンション価格の暴落に「地域差」
マンションを始めとした不動産価格も、9月以降はジワジワと下がり出すのではなかろうか。特に住宅ローンの返済が困難になった人々の任意売却が大量に出てきそうなのが8月以降と推定できる。
年末には、そういった任意売却物件が成約を急ぐあまりに“投げ売り”に転じるケースも目立ち始めるだろう。すると、一般人の目に見えるところで価格の下落が起きる。短期間に大幅な価格の下げが見られれば、それはすなわち「暴落」である。
今回のバブル崩壊では、暴落に地域差が出そうに思える。
例えば、同じ山手線の内側エリアでも、バブル的に価格が高騰した港区に対し、上がるには上がったが、その幅がさほどでもなかったのは文京区。そのため、下落幅も港区のほうが大きくなりそうだ。物件によってはこの7年の上昇分である現状価格の4割程度が短期間に吹き飛ぶこともあり得る。
一方、文京区では一部のタワーマンション以外は、この7年間で2割からせいぜい3割ほど上がっただけ。したがって、価格が下がってもまずはその程度に抑えられそうだ。
不況は人々に、株や不動産における「本来の価値」を思い出す機会を与えてくれる。例えば、株式ならPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)という基準があるように、不動産では「利回り」が有力な目安になっている。
利回りとは、その価格に対してどれくらいの賃料収入が得られるかということ。例えば、1億円のマンションで年間の賃料収入が1000万円だと10%。実際には管理費や税金、修繕費などが掛かるので実質は7%~8%になる。
2013年以降の局地バブルは、東京23区から利回り10%以上の物件を蒸発させた。東京23区どころか、郊外でも10%物件は見かけない。しかし、コロナ不況によって間もなく東京の近郊にも10%物件が復活するはずだ。