東京都心部のタワーマンションなどで起きていた不動産価格の高騰から一転、これから一層深刻化しそうなコロナ不況によって“不動産局地バブル”の崩壊が指摘され始めている。果たして今後、資産価値が暴落しそうなタワマンエリアはどこなのか──。近著に『コロナパニック最前線 不動産大暴落がはじまった』がある住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。
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今のところ目立った統計数字は出てきていないが、まもなく日本にもコロナ不況がやってくることは確実だ。
先日IMF(国際通貨基金)が発表した2020年の世界経済の成長はマイナス4.9%。日本はマイナス5.8%といずれも下方修正されているが、日本のマイナス成長は、果たしてその程度で済むのか。
8月中旬に発表される2020年の4─6月期のGDPは、おそらくはマイナス2桁であろう。史上最悪レベルと言っていい2009年1─3月の年率換算マイナス14.2%を超える下落幅になりそうだ。このままでいけば、2020年のGDPはマイナス二桁も十分にあり得るだろう。
そのような状況にあるにもかかわらず、株価は暴落していない。同様に、不動産市場にも目立った下落現象は見られない。なぜか? ハッキリした理由は分からないが、おそらく「カネ余り」が影響していそうだ。
2013年以来の異次元金融緩和で、日本の不動産は局地バブル状態だった。都心などの一部地域でマンションも含めた不動産価格がバブル的に上昇した。そのバブルが終わろうとする頃に、この世界的なコロナ騒動が始まったのだ。
メーカーは生産活動が停止状態になり、サービス業は自粛で売り上げが大幅減少。こういった経済活動の収縮が不況をもたらさないわけがない。そこで政府はかつてない手法による緊急の経済対策を実施した。国民一人ひとりに10万円を給付。事業者には最大200万円の持続化給付金の交付……。そういった政府のマネー“輸血”によって、現状は何とか不況色の鮮明化を抑えている。
裁判所も4月と5月は機能しておらず、企業の破産審査も停止したまま。6月からようやく動き出したので、それらが表に出始める8月には倒産が急増するという予測さえある。