長谷川:資金の出所も問題になるということですね。
郷原:そうです。そこを私はブログで初めて交付罪だと初めて指摘したんです。私は昔、奄美群島部の保岡興治と徳田虎雄の保徳戦争のときに、実際に交付罪で起訴したことがある。「地盤培養行為」的な資金提供が買収罪に当たるということになると、不透明な資金の供給は、公選法アウトになるんです。
長谷川:そうだとしたら、今回の事件でカネを出した自民党側もアウトって話になる。
郷原:そうなんです。
長谷川:そうしたら自民党総裁がアウトになるかもしれないじゃないですか、それに幹事長も。
郷原:だからルビコン川を渡ったということなんです。自民党本部がローマなんですよ。そんな意図はまったく無かったと思うし、今もどこまで認識しているか分からないです。恐らく自民党本部が選挙資金を提供した趣旨っていうのは、「案里氏の支持拡大」のためにいろんなところに配る金だろうと分かっているはずです。そうなると、その資金提供も捜査の対象にせざるを得ない、
長谷川:もしそんなことで検察が自民党の最高幹部を起訴しようとしたら、自民党は、安倍さんでなくても動きますよ。
郷原:指揮権発動。
長谷川:どうなるか分かりませんが、理屈の上では、十分あり得ると思います。
郷原:それくらい大変な状況なんです。もしそんなところまで至れば、検察ってものを根本的に考えなければならなくなっている。そういうきっかけになるかもしれない。
長谷川:ただ仮に指揮権を発動しようとすれば、メディア側のスタンスは明らかに「がんばれ検察」ですから、政権に批判が集中することになる。
郷原:こうなると内乱状態ですね。
長谷川:政権も力がかなり弱っていますからね。それこそ、この件が最後の一押しになって、政権が倒れてしまう危険性もある。今、永田町でもっぱら言われているのは「安倍総理は解散するんじゃないか」という話ですよね。ところが、自民党の若手、2回生とか3回生は「安倍さんの下では選挙なんてできない。俺が落選しちゃう」と言い出していて「もう辞任しかないのでは」という見方もある。そんな中で、この事件で検察庁頑張れとなっていったら、検察が政権に最後の一撃を与えることになりかねない。