梅本さんお手製の「どて飯」
〈作り方〉
【1】牛すじと豚もつを水から火にかけて茹でこぼし、ざるにあける。
【2】鍋に【1】を入れ、だしと調味料、薄切りにしたしょうがを入れて火にかける。煮立ったらアクをとり、フタをして弱火で3時間ほど煮込む。2日目、3日目も弱火にかけて煮込む。
【3】鍋の汁気が減ってとろみのあるカレーのような状態になり、肉がトロトロになればOK。どて煮をご飯の上によそい、温泉卵、刻みねぎを散らす。好みで一味をかける。
トラさんとミケさんのお店のどて煮は、お父ちゃんから受け継ぎ、注ぎ足されてきた50年モノの秘伝の味噌だれが特徴。さすがに3日煮込んだだけでその味に近づけたとは思いませんが、こっくりと甘い赤味噌で煮込まれたコラーゲンたっぷりのどて煮は、まるで和風ビーフシチューのような濃厚さ。しかも味噌だけに、ビーフシチューの10倍ご飯に合うんです。
『トラとミケ』には、このほかにも時間をかけて美味しくする料理がたくさん出てきます。
鮮やかな紅しょうが、家庭ごとの流儀がある白菜の漬物、お正月の黒豆。2巻では夏の梅酢サワー、手間暇かかるマロングラッセ、こたつで仕込む甘酒…ああ、よだれが止まらない。
「時短」「お手軽」といった流行りの言葉からはほど遠い、スローな食卓の風景。でもやっぱり料理も人(ネコ)も、長い時間を経ないと出ない味わいがあるのです。名古屋に行く機会があったら、トラさんとミケさんのようなかわいいおばあちゃんのお店で食べられるどて煮を探してしまいそう。
【profile】
うめもと・ゆうこさん/1979年生まれ。漫画に出てくる美味しそうな料理を再現し、ブログにレシピを載せている。著書に『マンガ食堂』。
※女性セブン2020年7月30日・8月6日号
煮込まれて熟成
マンガのご飯を再現する食材