「つながりマップ」を作成し、親の行動範囲にいる知り合い、よく行く店、好きな場所などを少しずつ情報収集し、できれば連絡が取り合えるようにしておく。転倒や体調が悪くなったときなどにも心強い

◆認知症の人の外出を守る情報化と絆づくりを

「認知症の人とのかかわり方のコツは、本人が“自分でできてうれしい”を増やすこと。家族がよかれと思うことをしてあげるのではなく、本人のやりたいことを1つでも叶えることが大事です」

 外出も“機能が低下しないように”ではなく、親が行きたい場所に楽しんで行ってこそ効果がある。普段の会話からさり気なく探り、聞くだけでなく、情報として書き留めておくといいという。

「どこに行きたいかという対話には、心理的空間を広げる効果もあります。“去年の花火大会はきれいだったね”“田舎の叔母さんは元気かな”などと話すうちに、家にいながら心は外へ向かい、外出したようなエネルギーもわいてきます」

 また親が街の中でよく行く場所や、地域の知り合いも知っておくといい。

「親のことを知る人がどこにいるかを把握し、できれば連絡が取れるようにしておくと安心。行方不明になりかけたとき、もちろん警察も捜してくれますが、実際に助けてくれるのは地域の顔見知りの人だったりします。このつながりは最大の防御策です」

 最近は自治体と警察が連携し、行方不明者を捜す体制づくりも進んでいる。各自治体に事前登録をしておくと、行方がわからなくなったとき、登録番号を伝えると一斉に捜し始めてくれるしくみだ。

「家族は、親が行方不明になったときにすぐ相談できるよう、地元の警察署、管轄の地域包括支援センターなどの番号を携帯電話に入れておく。

 また親本人には、外出を楽しみ続けるために、緊急連絡先などを書いたヘルプカードの携帯をおすすめします。認知症に対する考え方も少しずつ変わり始めていて、オープンにして助けを求める人たちも増えています」

◆認知症の人が安心して外出を楽しむために… 

【家族の携帯電話に入れておくべきSOS連絡先】
・地域包括支援センター
・ケアマネジャー
・介護事業所
・管轄の交番
など

【認知症の人本人が持っておきたい『ヘルプカード』】
 家族などの緊急連絡先、本人の名前、身体情報など、万一わからなくなったとき、保護してくれた人に助けてほしい内容、情報を。認知症であることをオープンにする人も増えている。

緊急連絡先、名前、身体情報などを記しておけば、万一わからなくなった時に役立つ(イラスト/鈴木みゆき)

※女性セブン2020年8月13日号

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