医療を受けない人の方が健康を保てるというのは皮肉なものだが、新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんも「下痢や風邪など、家で寝て治した方がいい病気も多い」とも指摘する。

「これらは病院で診てもらっても不必要な薬を出されるだけです。下痢は悪いものを出し切らなければならない。下痢止めで排便を止めてしまうとかえって治りが遅くなる。発熱を解熱剤で下げることや、女性に多い膀胱炎も同じです。安易に抗生物質を服用すると耐性菌を生むことになるため、まずは水分を多めにとって悪い菌を出し、様子をみてみることも必要です」(岡田さん)

 北海道科学大学薬学部客員教授で感染症専門医の岸田直樹さんも、病院に駆け込む前にまずは家で療養できないかと考えるべきだと声をそろえる。

「風邪で病院に行ったところで、できることはない。胃腸炎も本来は自然に快方に向かう。病院で点滴してもらうものだと思っている人も多いが、点滴の内容に何か特別な成分があるわけではありません。最近は『OS-1』のような点滴と変わらない経口補水液も市販されているので活用してほしい」

 病気の治療のほか、病院に行く用事としては健診・検査が挙げられる。だが、これも種類によっては危険性がないとはいえない。

「そもそもリスクのない検査は存在しません。レントゲンやCTスキャンには放射線の被ばくや造影剤のアレルギーなどといったリスクがある。マイナス面もあることを理解しておいた方がいいでしょう」(岸田さん)

 数ある検査の中でも、岡田さんは特に「糖尿病の検査と肺がんの検査はおすすめできない」と話す。

「血液検査から血糖値を計る方法ならば問題ありませんが、甘い水をのんだあとに血糖値を測る『経口ブドウ糖負荷試験』は避けるべき。人間ドックなどで幅広く行われていますが、この検査はもともと糖尿病を患っている人であればグンと血糖値を悪化させるし、そうでない人でも体に負担がかかる。

 また、胸部レントゲンによる肺がん検診は放射線被ばくにより、かえってがんを発生しやすくしているという報告もあります」

 星さんも海外の研究を挙げて言う。

「北欧フィンランドでの調査では、健診を全く受けていないグループの方がそうでないグループよりも15年後の生存率が高かったというデータがある。元気に長生きするために大切なのは検査よりも予防。適度な運動や質のよい睡眠、快適で住みやすい家づくりに尽力した方が、病院に頼るよりもよっぽど長生きできるのです」

※女性セブン2020年8月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン