芸能

アメトーーク!式が主流に 深夜番組のゴールデン特番が増加

『アメトーーク』式とは?(公式HPより)

 少し前までは人気の深夜番組がゴールデンのレギュラーに昇格するケースが多かったが、そうした形は最近めっきり減り、今のトレンドは「深夜番組を時々、ゴールデン特番として放送」だという。そこに見え隠れするテレビ局の事情とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

* * *
 この1か月あまりで、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系、毎週月曜24時15分~)、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系、毎週日曜23時~)、『HEY!HEY!NEO』(フジテレビ系、不定期深夜)、『家事ヤロウ』(テレビ朝日系、毎週水曜23時15分~)、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系、毎週火曜23時59分~)の特番がゴールデンタイムで放送されました。

 これらの共通点は通常、深夜帯で放送されていること。純然たる特番や、ゴールデンタイムでレギュラー放送されている番組の特番ではなく、なぜ「深夜番組の特番をゴールデンタイムに進出させよう」という動きがあるのでしょうか。

◆「収益性が低い」という課題をカバー

 深夜番組がゴールデン特番として放送される理由として、鍵を握る存在となっているのは『アメトーーク!』(テレビ朝日系、毎週木曜23時15分~)。2003年4月のスタートから他の深夜番組がゴールデンタイムに昇格していく中、一貫して深夜帯での放送を続け、その代わりに年に数回ゴールデン特番を放送してきました。

 ただ、テレビ朝日は日本テレビと熾烈な視聴率首位争いをしていた2016年10月、通常の深夜放送に加えて「日曜ゴールデンタイムに『日曜もアメトーーク!』もスタートさせる」という強気の編成を決行。しかし、『日曜もアメトーーク!』は思ったほどの結果は得られず2018年9月までの2年間で終了し、深夜放送+ゴールデン特番という形に戻りました。

 こうした経緯もあって他の深夜番組も安易にゴールデンタイムへ昇格させるのではなく、「深夜での放送を続けつつ、時折ゴールデン特番を放送する」という『アメトーーク!』式の戦略が増えているのです。

 実際、今月も『アメトーーク!』は木曜深夜帯での放送に加えて、7日19時からゴールデン特番『アメトーーク!3時間SP』を放送しました。もともと深夜番組には「広告収入が得にくいため収益性が低い」「予算の少なさから出演者や企画に制限がかかる」などの課題があり、「長年放送し続けるのは難しい」というのが業界内の定説。

 しかし、『アメトーーク!』は熱心なファンが多い上に、DVD販売も計算でき、「ゴールデン特番で稼ぐこともできる」という新たな可能性を切り拓きました。このような深夜番組なら、強引にゴールデンタイムへ昇格させたり、「収益性が低いから」と打ち切ったりする必要性はありません。

◆深夜でも「局の看板番組」や汎用性の高さがポイント

 もともと「ゴールデンと深夜では視聴者層が大きく異なる」と言われ、番組の構成・演出に変化をつけていましたが、近年では「年を追うごとにそのギャップが大きくなっている」という声も挙がっています。

 特にゴールデンはネットの普及で視聴者の大半が中高年層とファミリーに偏っているだけに、「深夜番組を昇格させてもフィットしないだろう」という見方が強くなり、最近ではほとんど見られなくなりました。ゴールデンの新番組は深夜からの昇格ではなく、「単発特番の中から結果を残したものが選ばれる」という形がスタンダードになっているのです。

 それだけに深夜番組で求められているのは、『アメトーーク!』のように「熱心なファンに向けて通常放送しながら、時折ゴールデン特番で稼げる」という汎用性。『アメトーーク!』以外でも、『月曜から夜ふかし』『有吉反省会』(日本テレビ系)、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)も似た形で一定の成功を収めています。

 さらに今後も、『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』(TBS系)、『それって!?実際どうなの課』(日本テレビ系)、『かみひとえ』(テレビ朝日系)あたりのゴールデン特番が見られるかもしれません。

 また、もう1つ興味深いのが1993年から土曜深夜で放送され続けている『COUNT DOWN TV』(今春から『CDTVサタデー』に改題、TBS系)。同番組も『アメトーーク!』と同様に時折ゴールデン特番を放送してきましたが、今春からは『CDTVライブ!ライブ!』という派生番組をプライムタイムでスタートしました。深夜に放送していても「局の看板番組」であることや、汎用性の高さがポイントになっていることがわかるのではないでしょうか。

◆日曜昼の終了番組もゴールデン特番に

関連キーワード

関連記事

トピックス

金メダリスト萩野公介の離婚の真相に関係するであろう一文字
【萩野公介・離婚の真相】スピリチュアルな話が増えてmiwaとの夫婦生活に区切り、LINEプロフィールが“漢字一文字”に変わり周囲びっくり
女性セブン
神戸大学のバドミントン同好会「A(仮名)」 迷惑行為が問題になっている
《障子にパンチ、天井に胴上げアタック》神戸大学のバドミントン同好会が旅館を破壊か 大学側は「事実関係を調査中」
NEWSポストセブン
大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《大谷翔平を魅了》結婚相手・真美子さんの手料理は「お店のようなクオリティ」母・加代子さんの想いを受け継ぐ「温かな食卓の原風景」
NEWSポストセブン
ドジャースの公式Xより
ドジャース山本由伸が韓国遠征で「ジャージー×400万円バーキン」ファッション、なぜ野球選手は“ブランド好き”? かつては「ヴィトン×金ネックレス」が定番
NEWSポストセブン
税務職員たちの“カネにまつわる不祥事”が次々と明らかになった
【情報公開請求】税務署職員の懲戒処分144件を調査 カネに関する不祥事が続々「虚偽の確定申告」「不正受給」「勤務中FX15000回」で処分も
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)と妻の田中真美子さん(レッドウェーブ公式サイトより)
大谷翔平の結婚相手・田中真美子さん、抜群の好感度でメディア出演待望論 モデル、キャスター、インフルエンサーなど幅広い分野での存在感に注目
NEWSポストセブン
活動は今年10月で一区切り“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(84)
《右耳聴覚も失っていた》“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(84)が語った「活動は今年10月で一区切り」と「叶えたい夢」
NEWSポストセブン
3月5日に「ガスト」店内と思われる場所で撮影された”調味料一気飲み”の動画が拡散された
《ガストで調味料一気飲み》迷惑動画を撮影・SNS拡散の3人がついに全員謝罪も運営会社は「厳正な対処」を継続方針
NEWSポストセブン
大谷翔平(Getty Images)と妻の田中真美子さん(レッドウェーブ公式サイトより)
【彼女はめっちゃ甘え上手】大谷翔平の結婚相手・田中真美子さん、大学同窓生が明かす素顔「チャラ男は好きじゃない」
NEWSポストセブン
羽生と並んで写真に収まる末延さん(写真はSNSより)
【全文公開】羽生結弦のアイスショーとバイオリニスト元妻のディナーショー、公演日程が丸かぶり 「なぜ同じ日に?」と関係者困惑
女性セブン
元横綱・白鵬の周りでは様々なトラブルが…
元白鵬・宮城野親方に関する「暴行告発状」“白鵬米”販売会で写真撮影をめぐるトラブル「取り巻きが市議にヘッドロック」証言
週刊ポスト
話題になっているジャッキー・チェンの近影(微博より)
《ジャッキー・チェンの現在》今年70歳になる大スターの近影に中華圏で驚きの声あがる「ちょっと急に老けすぎでは」
NEWSポストセブン