オフィス需要が減退した街の末路
お気づきだろうか。こういう構図でオフィス需要の“玉突き現象”が起こるのだ。そして、最後に空室だらけになるのは、地味な街の中途半端なサイズや老朽化したオフィスビルである。
例えば、中央区の東日本橋や八丁堀、港区の高輪、新宿区の市ヶ谷や飯田橋、千代田区の内神田や外神田、渋谷区の代々木といったエリア。そういった場所ではオフィス需要減退の波をもろに被りそうだ。
しかし、交通利便性には優れているので、救いはある。分譲や賃貸のマンションに建て直すか衣替えすれば、十分に需要を吸収できるはずだ。またここ当面は見込み薄だが、コロナが収束してインバウンドが戻れば、何年か先にはホテル需要も復活する可能性がある。
このようにオフィスの玉突き現象は、巡り巡って都心でのマンション供給を増やす。すると、都心でのマンション需給がさらに緩んで価格や賃料には下落圧力になる。今よりも都心に住みやすくなる可能性が高まるのだ。
コロナは経済失速という大きなデメリットをもたらしたが、テレワークの普及という働き方改革を強制的に実現させてくれた。そのことを「せめてもの救い」と考えてはどうだろう。
テレワークの推進によってオフィス需要がしぼんでいる