いい肉を食べるのも手(写真はイメージ)
日経新聞によると、〈4~5月に精神保健福祉センターへ寄せられた新型コロナに関する心の健康相談が急増。40~50代の相談が多く、「眠れない」「不安で心がおかしくなりそう」「外出自粛でストレスがたまる」といった内容が目立った〉とのこと。この8月中に厚生労働省が、コロナ流行による外出自粛や休業要請によって、うつ症状など精神面での不調を訴える人がどのくらいいたのかを把握するため、初のメンタルヘルス全国調査を実施するそうだ。その結果はどう出るか。
第一波の4~5月頃の緊張感をともなったストレスも相当なものだったが、第二波の渦中にある現在の我々は、これから先の見通しがますます難しくなっていること、経済的打撃がいよいよ本格的にリアルなものとなってきたことなどに、より強く深いダメージを受けている。
そもそものコロナ感染に対する恐怖と不安。在宅勤務がまだ続いている人は、家族としか接しない生活がやっぱり息苦しい。逆に、在宅勤務に馴染んだのに、会社のよくわからない判断で急に出社を強要され、不満を募らせる。医療従事者、介護福祉士、スーパーの店員などなどのエッセンシャルワーカーは、それこそ感染症対策に忙殺され、疲労困憊。飲食を始めとした自営業者の多くは、明らかな減収と打開策が見つからない仕事のことでストレス膨大……。
人によって、その有り様は千差万別だが、精神的にかなりきている人はかなり多いはずだ。最近のツイッター界が何かとギスギスしているのも、コロナによるストレスで、イライラを抑えきれない人が増えているからではないか、という気にもなる。
そんな中、ひとつのナイスアイデアというか、気持ちが前向きになれるツイートを発見したので紹介しておきたい。ちょうど「#Amazonプライム解約運動」が騒ぎとなった8月17日、それとはまったく関係なく、以下のツイートがバズっていた。
〈たまにメンタルが死んじゃうと大変なことになるのでメンタル死亡保険という概念を導入して毎月積み立てしてメンタル死亡時に5万の保険金がおりるという制度を勝手にやってんだけどすごくいい 先日死亡したので美容院とマッサージ屋に行った後1人で1万のいい肉食いにいったら無事生き返った〉
「あめこチャン」と名乗る、ごくありふれた小規模アカウントによるつぶやきなのだけれど、本稿執筆現在、リツイート数8.9万、いいね数30.2万と大拡散したのだ。
メンタル死亡保険は、「自分へのご褒美」に似ているようでちょっと違う。良く頑張った自分を自分で労わるのではなく、頑張ったかどうかは別に、とにかく日々の生活にへとへとになった自分を自分で労わるのだ。そして、それを〈毎月積み立てしてメンタル死亡時に5万の保険金がおりるという制度〉として仕組み化する。
「あめこチャン」は明かしていないが、毎月の積み立て金は1万円くらいだろうか。だとしたら、半年で6万円が貯まるので、年に2回はメンタル死亡しても復活できる。その安心感は大きい。
また、もし1年間、一度も死なないでやってこれたら12万円が貯まる。そうなったら、良く乗り切りました保険金がおりることにして、小旅行などを楽しむ手もある。それを楽しみに、日々やっていこう、というイメージもわく。
このツイートがこんなにバズるということは、裏返せば、それだけ大勢がぎりぎりのメンタルで生きているということだ。今年の前半に大注目を浴び、大炎上もした『100日後に死ぬワニ』の著者、きくちゆうき氏も〈おれもメンタル死亡保険加入しよ〉とツイートしていた。きっと精神的に大変だったのだろう。
本当にしんどくて、不眠が続く、集中力がなくなった、食欲や性欲もない、という段階に来たら、なにはともあれ精神科か心療内科にすぐ行けだが、その手前の辛さはこうした自分なりの生き方の工夫で乗り切ればいい。美容院とマッサージといい肉食って、アンダーコロナで苦しむ自営業者たちの支えにも自然となればいい。