医官の“思い”が打ち明けられているニュースレター
学生たちの軟禁状態を避けるための提言がなされていたのに、“高級幹部”がそれを一蹴したという内容の記述である。提言が採用されなかった結果、学内で大混乱が起きたのは本誌・週刊ポストが報じた通りだ。A医官のニュースレターでも〈その結果が長期の学生の拘束と週刊誌に報じられた混乱の一端であったことは想像に難くありません〉と触れられている。
A医官は、問題は防衛大の意思決定の方法にあると言及している。
〈指揮官の判断は任務達成の必要性や政治的理由など非医学的理由も左右されるので全面的に尊重してきましたが、感染症や公衆衛生については素人だけの作業部会で安易に決めず、必要なら横病(編注:自衛隊横須賀病院のこと)など他機関の専門医にも意見を諮問していただいたほうがよいのではないかと考えます〉(同ニュースレターより)
ただ、前述の通り、こうした提言を行なったA医官は、異動を命じられる。それについても同ニュースレターで、〈新型コロナや余りにレベルの低い衛生課の現状を改善しようと2年頑張るつもりでいましたが、学校人事権者の意向でこのような結果となりました〉と忸怩たる胸中を明かしている。