芸能

『太陽にほえろ!』ゴリさんの竜雷太 撮影現場でも教育係

「”中間管理職”のようだった」と語る竜雷太

『相棒』や『特捜9』など、数々の刑事ドラマが人気となっているが、その源流は昭和のドラマにあるだろう。なかでも、刑事たちの人間性にスポットを当てて人気となったのが『太陽にほえろ!』だ。このドラマでは、萩原健一や松田優作など、多くのスターが刑事として登場、そしてその殉職シーンも話題となった。

 新人刑事の教育係だったゴリさんこと石塚誠刑事役を演じたのが竜雷太だ。実は撮影現場でも、役柄同様、新人俳優の教育係を任されていたという。そんな竜雷太に、当時の話を聞いた。

 * * *
 番組の初回から10年間、ゴリさんを演じました。最初の数年間はよく走り回っていましたが、どんどん新人刑事たちが入ってきて、そのうち走るのは彼らの役目となり、ぼくは役でも現場でも、ベテランと新人の間の“中間管理職”のような立ち位置になっていきました。

 そのきっかけとなったのは、テキサス役の勝野洋さんを指導したことでしたね。彼は柔道経験のある猛者なのに、ボス(石原裕次郎さん)の前では緊張のあまり“はい、行ってきます”の一言すら出ない。

 そこで撮影を中断して廊下に連れ出し、2人で練習してから撮り直したことがあります。そのことがあってからは、若手俳優の演技に至らない点があると、ボスがぼくをチラっと見るように…。それで、ぼくが若手の緊張をほぐしたり、叱咤激励したりするようになったんです。

 ラガー刑事役だった渡辺徹さんにいたっては喝を入れすぎたようです。ぼくが殉職してドラマを卒業した後、彼が急にぽっちゃりしだしたものだから、“ゴリさんがいなくなったから安心したんだろう”なんて言われたくらいですからね。

 成長してほしい一心でぼくも一生懸命だったけど、ちょっと厳しすぎたのかなと、反省しましたね。

 こんなふうに、若手俳優とかかわりながらも、一方では石原裕次郎さんともよく飲み明かしました。酒の席で“やっぱり仕事は映画だよ”と口癖のように話す石原さんに、“ボス、映画映画って言いますけど、私たちはこのテレビに命をかけているんです”と言ったことがあるんです。するとそれ以来、“よしわかった、お前たちがそんなに命をかけてやっているんだから”と、テレビに本腰を入れてくれるようになったんです。

 ぼくが殉職するシーンでは、歴代の刑事役で唯一ボスが看取ってくれたのも印象深かったですね。時間も1時間半のスペシャル版に拡大。ぼくにとっては10年間がんばった最高のごほうびになりました。

【プロフィール】
竜雷太/1940年生まれ。NHK「連続テレビ小説」や「大河ドラマ」など、数多くの作品に出演。

※女性セブン2020年9月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

解散を発表したTOKIO(HPより)
《TOKIO解散には迷いなし?》松岡昌宏、「男気会見」で隠せなかった本音 唯一違った“足の動き”を見せた質問とは?
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン