その中で最もアピールした要素を問われれば、私は2番目の「受け止め効果」を挙げたいと思います。常に話を聞いてくれて受け止めてくれる。時に励ましてくれる併走者が、暮らしの中にいてくれたら──ナギサさん的存在がいかに意味を持っているのかが浮き彫りに。
実は、この点は韓流ドラマ人気とも共通するのではないか、と思うのです。今や第4次ブーム到来とも言われますが、話題作『愛の不時着』『梨泰院クラス』『サイコだけど大丈夫』の三作いずれにおいても、「人の話を聞いてくれて、受け止める力のある男性」が主人公として登場し存在感を際立たせていました。
上から目線でなく、「俺に付いてこい」的マッチョでもなく、女性を守るけれども偉そうにはせず、他を受け止めることができる人物。それが、ナギサさんとも共通していて、多くの女性視聴者が求めているキャラクターであり人気の牽引力となっているのではないでしょうか?
ちなみに、9月8日に放送された『私の家政夫ナギサさん 新婚おじキュン!特別編』ですが、大半はすでに放送した内容の編集でした。冒頭と最後には新婚のシーンが入り、メイとナキザさんのちょっとした行き違いが口ゲンカに。結局オムライスを作って食べて仲直り。そこにNGシーンのオマケが付いた、といった風で、視聴者からは「新しいシーンが少なくてがっかり」という声も複数にありました。「ぜひシリーズ化して、次は二人の新婚の話を展開してほしい」という続編の期待も聞かれました。
でもどうなのでしょうか? メイとナギサさんは恋愛がらみでなかったからこそ、癒やしになったのだとすれば……。二人の関係が、互いにじっと見つめ合う恋愛や夫婦関係になったら? 親密さや性的な面が描かれたとしたら? 癒やしの空気感はいったいどこへ?
メイのように忙しく働く女性たちが求めているのは、もしかしたら互いの瞳を見つめ合う関係より、脇にいて同じ方向を向いて励ましてくれるような同士かもしれません。
もちろん韓流ドラマではイケメンが視聴者の疑似恋愛対象であり一般的に恋愛要素はドラマの王道ではありますが、ことメイとナギサの間においては「恋愛解ではない」新しい関係性を追求する、というチャレンジングな展開がありなのかもしれません。