地元人口の10倍以上の人が訪れる富山「おわら風の盆」(毎年9月1日から3日)も新型コロナ対策で開催中止に(時事通信フォト)

地元人口の10倍以上の人が訪れる富山「おわら風の盆」(毎年9月1日から3日)も新型コロナ対策で開催中止に(時事通信フォト)

 キャンペーンは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で停滞し、算出方法によっては9割以上の収益減という未曾有の危機的状況下にある観光業界を救うべく、国民の利用を促すためのテコ入れ事業のはずである。宿泊施設だけで見ても、高額な施設、というのは全体の何割だろうか。国内企業と同じで、数の割合で考えれば宿泊施設の多くは高級路線ではない中小、もしくは弱小企業であるに違いない。

 そういったところに恩恵が行き届いているとはいえないのなら、キャンペーンの存在意義自体が問われることにはならないか。神奈川県・箱根エリアで小さな料亭旅館を営む、坂田春雄さん(仮名・60代)が胸の内を明かす。

「キャンペーンで賑わっているのは高級旅館や高級ホテルばっかり。ああいうところは外資だったり、大手の資本が入っているから、笹舟のように貧弱な我々のような経営状況ではない。なのに助かるのはあちら様だけでしょう? もうやってられない」(坂田さん)

 やはりここでも、キャンペーンの利用客が高級志向の宿泊施設ばかりに集中し、リーズナブルな宿泊施設が恩恵を受けられていないという現象が起きていた。さらに……。

「そういうところに宿泊したお客さんが、うちに食事だけ来られることもある。Go To使えますか、と。クーポンのことをおっしゃっているのだろうけど知らないから『わからない』というと、チェッという感じで出ていかれる。お客さんだから無下にしているつもりはないけどね……」(坂田さん)

 さて、業績の落ち込んだ外食業界に国民を呼び戻すべく、農水省が音頭を取って「Go Toイートキャンペーン」が始まる。事前に登録された飲食店で使える食事券を購入すれば、購入額の25%分が上乗せされる、というものだ。ただし上限は2万円、上乗せ分を含めて2万5千円分だ。宿泊代と食事代を同列に比較はできないとしても、1万円を支払って1万2500円の食事を楽しむより、5千円もお得な2万円の食事券を購入する方が「お得感」は最大、と感じる人は少なくないはず。地元に根付いた安価な飲食店で、こうした制度を活用しようという国民が多くいるのかと言われれば、どうだろうか。

「トラベル」と同じように「イート」でも本当の苦境に陥っている中小事業者が救われないとすれば……。強者だけが潤う偽りのキャンペーンだと、多数の中小飲食店から不満が出ることも必至である。

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