広島テレビ放送で、新人時代から夕方の情報ワイド番組を3度の育休を取りながら20年以上にわたって担当する馬場のぶえアナ。今年3月に発売された実母の介護体験を綴った著書は広島県内でベストセラー入りするなど名実ともに県の“顔”だが、意外にも福井県出身。そんな“外様”である馬場アナには苦い思い出があった。
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忘れもしない入社1年目の夏、日テレ系列の地方局にとっての大仕事『24時間テレビ』の募金会場でのことです。中継が入っていないトーク中にプロ野球の話題でとんでもない大失敗をやらかしてしまいました。
現場で司会を務める先輩アナから「馬場さんは広島出身ではないですがプロ野球はどこのファン?」と聞かれて、何気なく「大学が東京で周りがほとんど巨人ファンだったので、一緒に応援していました」と言ってしまったんです。
その瞬間、広島の特設ステージの客席がシーンと静まり返り、雰囲気が一変したんです。皆さんの“心のシャッター”がたしかに閉まるのを感じました。先輩が取り繕うように「広島の好きな場所は?」と話題を変えたので「瀬戸内海が穏やかで好きです」と言ったら、目の前の酔っ払いのおじ様から「広島といえば平和(記念公園)だろ!」とヤジられ、「瀬戸内海のどこ?」の問いにうっかり「浜田」と答えたら「それは日本海!」とサンザンでした。
あの時に受けた洗礼で、広島では冗談でも巨人ファンなどと言っては「生きづらい」と実感しました。今では広島歴23年で、身も心も完全に赤く染まりました!
その年に夕方の情報番組『柏村武昭のテレビ宣言』のアシスタントになれたのは幸運でした。看板番組に右も左もわからない新人アナを起用するなんて、広島テレビは勇気ある会社だと思います(笑い)。